サイバーセキュリティ月間(広報室)

政府では毎年2月1日から3月18日までの期間をサイバーセキュリティ月間と定め、政府そして民間企業が連携して様々な普及啓発活動を行っています。
その普及啓発活動の中で、国民に親しみやすいメディアであるアニメ・コミック等の影響力に注目し、2016年よりアニメコンテンツとのタイアップを行っています。
その中で本年度、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、サイバーセキュリティでしばしば取り上げられるソーシャルエンジニアリングに近い概念を持つ「アナログハック」を一つのテーマとした作品、『BEATLESS』に注目し、BEATLESS製作委員会とタイアップを行うことで合意致しました。
2月1日から3月18日までの期間中、国内各所でのポスター掲示や3月4日秋葉原UDXで開催予定のイベントなど、様々な普及啓発活動を実施して参ります。

アナログハックとは?

 「BEATLESS」のストーリーでは「考えるよりも早く、視覚をはじめとする五感により感情が動いてしまうという意識のセキュリティホールを狙い、人間の“アナログ的な意識”をハッキング(誘導・改変)することをアナログハックという」としています。またタイアップのポスターにも登場するヒロイン、レイシアたちhIE(ヒューマノイド・インターフェース・エレメンツ)は、「この作用をうまく利用するために人間の“かたち”をしている」とあります。
つまり、デジタルなサイバー攻撃ではなく、人(もしくはそれに似たもの)による、目的を持った「人への働きかけ」を指すのです。アナログハックそのものは善でも悪でもありませんが、悪意を持って利用するとそれは攻撃の手段となる訳です。

では、具体的にアナログハックとはどういうものか、気になりませんか?気になるようでしたらこの画像をご覧下さい。

Are you hacked?

「QRコードを読み込み、ここにジャンプしてきたアナタは今ハックされました
「『画像を見て下さい』と言われ、スクロールしたアナタもハックされたのです
「興味を示すアナタの行動までもが、想定されていたと言われれば分かりますか?」
「もしこのページに、アナタのスマートフォンやパソコンのセキュリティホールを突く、ウイルスを仕込んだページがあったら、アナタは今どうなっていましたか?」

「BEATLESS」のストーリーが展開する22世紀ではなく21世紀の私たちの世界でも、人間の心のセキュリティホールを突いて、自ら行動させるテクニック「ソーシャルエンジニアリング」が存在します。
人間の心のセキュリティホールに対する攻撃は、相手を騙して目的の行動を起こさせる「標的型メール」、自分の子どもであると思わせてお金を騙し取る「振り込め詐欺」、同年代の少年少女であるふりをして誘い出す「なりすましや未成年者略取」など多岐にわたります。

それらは事象から捉えると様々な個別の犯罪となりますが、実は根っこにあるのは人間の心にある「隙」という名のセキュリティホールへの攻撃であり、私たちはそれらを大きな問題であると捉え、共通認識出来る名前を付けて対処しなければなりません。「アナログハック」という言葉は、その名にもっとも近い存在と言えます。
しかし、「アナログハック」は単なる行動の名前であり、それ自身は悪でも善でもありません。悪意で用いる場合もあれば、善のアナログハックも存在する訳です。私たちが今年のタイアップポスターで、あえて「隙」ではなく「スキ」と書いたのは、アナタに関心を持って働きかけをする、好意的な「スキ」もまた「アナログハック」であり、「アナログハック」は知って欲しくても、それがイコール「悪」だとは捉えて欲しくないからです。
私たちが日常的に耳にする「ハッカー」はイコール悪意の攻撃者ではなく、善意のハッカーも存在するように、「アナログハック」にも両面がある。そのことを認識しつつ、共通の意識を持てるように「アナログハック」という言葉を使っていきたいと思います。
そう、アナタが好意を持つ人を想像して下さい。そしてその人がアナタをじっと見つめて「私を信じてくれますか?」といっているところを想像して下さい。そんな風にアナタの心を動かすこともアナログハックなのです。

アナログハックに興味を持った方は、ぜひ劇中で登場する「アナログハック」のシーンをご覧になったり、原作やコミカライズを手に取ったりしてみて下さい。知る、と言うことは備えることにもなりますから。

「BEATLESS」 MBS/TBS/BS-TBS アニメイズム枠で放送中。見逃した方はAmazon プライムビデオでも配信中です。

©2018 長谷敏司・redjuice・monochrom/KADOKAWA/BEATLESS製作委員会

「アナログハック」の項目で使用した画像は、「BEATLESS」第1話からお借りしました。

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内閣サイバーセキュリティセンター

 

2018年1月22日 | カテゴリー :